イズ・エー [is A.]

イズ・エーを見てきました。
渋谷爆発犯の勇也(小栗旬)の行動が、私には理解出来ない。人類に対しての絶望していながら、あれだけのことが出来てしまうのである。彼は優秀な頭脳を持つだけでなく、事件を起こす行動力がある。普通の人間は爆弾など作れないと、その段階で挫折する。作れるとして、常識があれば犯罪を犯したいとは思わない。思ったとして、彼には爆発が成功したこと、人を殺したこと、有名になったことへの爽快感も高揚感もない。
それに対して克次(姜暢雄)は頭が悪く、自分で何かを起こす能力がない。そして、正直。登場人物のなかで一番正直なのは彼ではないかと思う。彼にとって、勇也はまさに神様のように映ったのではないだろうか。その愚かさをとても愛しく感じる。
勇也の父(内藤剛志)もまた私には理解出来ない。恐ろしくもあり、やはり勇也の父だなのだと納得する何かを持っている。母と妹は嫌悪感を感じるものの、理解できるし、自分も同じような態度をとってしまうと思う。
三村(津田寛治)は理解というより、こうなってしまうのも仕方がないと思える人。そして何より、ラストシーンにより、息子の死によっておかしくなっていると思われていた彼だけが、実は狂ってしまうことも出来ない、普通の人間だと分かるのが悲しい。

イズ・エー [is A.]
監督:藤原健一
出演:津田寛治小栗旬内藤剛志戸田菜穂水川あさみ山田辰夫菅田俊